ダッフルコートは誰がどう着こなせば似合うのか。ポロ ラルフ・ローレンのダブルフェイスド ウール ダッフルコート。

2022年2月27日

ッフルコートを、

どうしても 子供っぽい服だなと思ってしまうのはなぜでしょう。

焼き菓子の「ワッフル」に語感が似ているからでしょうか。

違います。

特徴的なトグルボタンフード、そして 大きめのパッチポケットのせいでしょう。

これらの要素が盛り込まれたワッフルコートはダッフルコートは、必然的にカジュアルな印象になります。

ワッフル、大好きです。
(画像)Wikipediaより

ダッフルコートの起源(※1)は、一説には英国海軍が防寒着として使っていたとされていますが、

たとえ海軍の将校が着ていようが、
シチリアのマフィアが着ていようが、
イスラム過激派組織の指導者が着ていようが、
歌舞伎町のヤクザが着ていようが、

彼らには 似合いません

どう頑張って着こなそうとしても 前述したカジュアル要素のせいで どこか腑抜けた様相になり、

彼らの威厳とは(180度とは言わずとも)反対側に位置しているモノのように思うのです。

くまのパディントンがダッフルコートを可愛らしく着こなしていることが 私のこの憶測の何よりの裏付けです。

かわいい。
画像) 映画「パディントン」より

ポロ ラルフ・ローレンのダッフルコート

さて、それではダッフルコートとはいったい誰がどのように着れば似合うのでしょうか。

個人的な意見を言うと、ダッフルコートが似合う人はかなり・・・限られていると思います。

もちろん、私は似合いません。

なお、誤解のないように加筆しておきますが、

ダッフルコートそのものは デザイン性にも機能性にも富んだ大変優秀なアウターで、私も大好きなアイテムのひとつです。


今回はポロ ラルフ・ローレンのダッフルコートについて書きますが、

本作はディテールも含めて、昔ながらのオーソドックスなダッフルコートです。

POLO Ralph Loren / MNPOOTW12820024(3616531713318)

このアイテムを通して、ダッフルコートが似合う人がなぜ少ないのかを考えてみます。


ダッフルコートの最も特徴的なディテールとして「トグルボタン」(※2)がありますが、

まず、これが子供っぽい。

「子供っぽい」というよりか、正確には「大人っぽくはない・・・・・

フロントに配されるトグルボタン。

木製のボタンと麻紐あさひものループ、ダッフルコートのメインとも言えるこの最大の特徴からして、どこか”可愛らしいデザイン”なのです。


次にフードですが、これも子供っぽい。

もとい、大人っぽくはない。

無論、フードは雨や風を防ぐための機能的に重要なディテールなので、

その「姿 / 形」だけを基に判断をくだすことは避けたいのですが、

とはいえ ここにも大人っぽさはなく、”可愛らしさ”が垣間見られます。


また、左右の側面には大きめのパッチポケットがデザインされており、

これもカジュアルで大人っぽくはない、”可愛いデザイン”。

とは言え、便利。

大人っぽくはない&可愛い

これらの特徴以外にも、ストームパッチと呼ばれる肩を補強したパーツがありますが、

このディテールもセーラー服のような”可愛らしさ”が漂います。

肩から背中にかけての補強アップのために配されたストームパッチ。

ダッフルコートの特徴をつらつらと書いてきましたが、

共通していることは

可愛い”ということです。

大人の男性が着るには幾分の可愛らしさと子供っぽさがあり、

しかし、

そこがダッフルコートの良き特徴でもあり 同時に 似合う人が少ない理由のひとつでもあるわけです。

「似合わない」ではなく「似合いたい」

ダッフルコートを少しばかり詳しく調べると この写真にたどり着く人が多いでしょう。

イギリス陸軍将校のバーナード・モンゴメリー氏(1887~1976)の写真です。

故 バーナード・モンゴメリー陸軍将校(右側)。
画像)「GENTLEMAN Fashionー紳士へのガイド」(※3)より

風格があり、とてもかっこいいです。

この将校の着こなしを見てカッコいいなぁと感じる理由は、

彼の強烈な人間力というものが 写真を通しても我々に伝わってくるからです。

そのへんに歩いている中身空っぽのおっさんが 真似て着ても似合わないのです。

(私もである。)


つまり。

批判を恐れずに言うと、

モンゴメリー氏も、ダッフルコート 似合ってないぞ。
(こんなに正直に書くと英国軍に抹殺されそうである。)

ダッフルコートを着ているモンちゃんがかっこいいのではなく、モンちゃんは何を着ても(きっと)かっこいい、という意味ね。

そこから考えると、

ダッフルコートが似合う人がなぜ少ないのかという私の小さな疑問への「答え」が浮かび上がってきます。

それは、

「子供っぽさのある服を着ても 自分にはそれが似合うだけの内面の深さがある!」と思いたい人が着ているのではないか、ということです。

もっと簡単に言うと、

皆、「似合わない」ことは意識下ではすでに認知・理解していて、

実際には、「似合いたい」という願望や欲求をもとにして着ているのではないかと(私も含めて)。

そんな深いことは考えてない!と言われてしまえばそれまでの話ですが、こういうことを考えるのは楽しいです(ニコニコ)。


(余談ですが、モンゴメリー陸軍将校の愛称は”モンティ”で、ダッフルコートのことをモンティコートとも言うのは彼の愛称が由来です。)

素材と内側

精神論に話が脱線したので、アイテムとしての紹介にもどります(ぺこ)。

上質なウール100%の素材はずっしりとした重量がありますが、

肩にきっちりと乗ってくれるため長時間の着用でも不思議と疲れは感じません。

着用全体図。

当然ながら、脱いで持って歩くときには重たいです…。


厚みがありながらも柔らかさのあるウールなので 着心地は良いですが、

時には暑く感じることすらある保温力が 良くも悪くも特徴です。

(暑けりゃ脱げばいいだけなので あまり文句は言わないようにします。)

後ろの全体図。

また、内側はブラックウォッチの総柄デザインになっています。

フードの内側も抜かり無くチェック柄。

裏地はダブルフェイスの一面総柄なので よくよく見るとけっこう派手ですが、表の無地ネイビーとのバランスはちょうど良いように感じます。

ただし、チェック柄が”可愛さ”要素を加速させていることも事実で、このあたりは好みが分かれるかもしれません。


左身頃の腰のあたりにはオープンポケットが1つ付いていて収納力もありますが、本音を言えばここではなく、胸付近に付いていて欲しかったです。

ダッフルコートの内ポケットの位置にも意味や理由があるのでしょうが、疲れてきたので今回はやめておきます(おい)。

大胆なブラックチェック柄が可愛い&かっこいい。
左身頃の腰付近にオープンポケットがあります。

まとめ

雑誌やネットなどでは「ダッフルコートは万能なアウター」とうたわれていることが多いですが、

個人的には「そうか?」と思っているアイテムです。

本当に似合う人はけっこう限定されますし、似合う人と似合わない人との差がハッキリと出るアウターです。

似合うために中身を磨かなければ 一生似合わないアウターだな、とも思っています。

(私は死んでもなお・・似合わない自信あり。)

しかし、ダッフルコートを時々着ることで、今の自分と向かい合うことができ、目指すべき自分の姿(主に内面)をイメージする良い機会になります。

似合わないからこそ、似合うように努力をするわけです。

人生、日々 精進。

では、今回はこのあたりで。

さらば。

注釈

(※1)ダッフルコートの起源
ほとんど全ての事物の起源や由来には種々様々の論説があるように、ダッフルコートの起源についても諸説あります。漁師のワークウェアとして使用されていたものをイギリス海軍が採用したという説が有力。ダッフルという名前はベルギーの街「デュフェル(Duffel )」に由来します。当時はこのデュフェル産のウール地を使用して仕立てていたということですね。「今治タオル」のようなノリです。

(※2)トグルボタン
トグル(=toggle)は、留め木、留め釘などの意味です。
研究社発行の『新英和中辞典』によると、《衣類の合わせ目を留める棒状の木製などのボタン》と記載されていました。語源はなんだろうかと気になって調べてみましたが、「tug(=引っ張る)」が変化したものではないか、との記述をいくつか見ました。が、真相は知りません。

画像)Wiktionaryより

(※3)書籍「GENTLEMAN Fashionー紳士へのガイド」
ベルンハルト・レッツェル氏著のメンズファッション本です。ひげの手入れからスーツ、ニットウェア、アウター、靴、小物、ホームウェアにいたるまで、メンズファッションのなんたるかが詳しく記された素晴らしい良書です。手元に置いておくと非常に便利。この本についての詳細はまた別の機会に書くことにします。
価格は2,000JPY(税別)ですが、2022年現在では絶版のため、10倍以上の価格で二次流通しています。

「GENTLEMAN Fashionー紳士へのガイド」(クーネマン出版社)

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