日常使いする「箱」にもこだわってみる。箱根の伝統工芸品、寄木細工の文庫箱。

2022年10月2日

寄木文庫尺1・小寄木/亀甲

、バッグ、革小物などを購入した際に付いてくる付属品の「(ボックス)」。

みなさん どうしていますか?

オークションなどの個人間売買が一昔前よりも盛んになった昨今、売却(リセール)する際に 箱の有り/無しで価額が変わってくるため、今まで念のために箱を保管してきましたが、

はっきり言って、

箱、邪魔です

思えば 若い頃は箱なんて・・・・何も考えずにすぐに捨てていました
そもそも 購入時点では売却(リセール)することを私は一切考えていないので、極端な話 買った瞬間に箱を捨ててしまってもその行為は間違ってはいないでしょう。

中途半端に年を重ねると、変な損得勘定をしたり、保険をかけた行動を取るようになったりするものです(私は今がそれ)。

そういった考え方から、「箱、捨てずに一応置いておこうかな」となるわけですね。

もっと深みを持った年の取り方をすると、きっと若い頃のように箱なんて・・・・すぐに捨ててしまうでしょう。
(箱の存在の大切さを理解しつつ、あえて捨てるという行為になるのではなかろうか。)

そんなこんなで。
今回は「箱」の話です。

付属品の箱を使うの、やめよっと

先述した通り、
商品を買った際に付属してくるを 今までは捨てずに保管してきましたが、その大部分は空箱です。

そうです、空気を保管しているだけ。

しかも そこそこの数量があるので 家の中のスペースを無駄に使っています。

生活空間をじわじわと侵食してくる空箱たち。
これでもほんのほんのほんのほんのほんの一部。

ただ、私も馬鹿ではないので(賢くもない)すべての箱が空箱というわけではなく、一部の箱の中にはDVDを入れたり、文房具を入れたり、捨てられずに置いている野球カードを入れたり、そういった使い方をしています。

同じようなかた、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

ただ この使い方…

私はなんだか…

テンション 上がらないです。

この様に 捨てられない少年時代の宝物を付属品の箱」に詰めて保管している。
しかし、なんだか気分が上がらない。

「付属品の箱」が副産物として『別のモノを収納する箱』に成るのは素晴らしいことなのですが、なんでもかんでもこの技を使っていることに一抹の貧乏気分を感じるようになったのです。

付属品は付属品たれ、箱は箱たれ。
というわけ。

付属品の箱を日常使いするのをやめ、専用の箱・・・・を用意すればテンションも上がるはず。

箱根の伝統工芸品、寄木細工とその技法

そんなわけで、
数カ月に渡って「箱」を探し求めた結果、たどり着いた答えが 今回紹介するアイテム、

寄木細工が用いられた文庫箱」です。

寄木細工とは 言わずと知れた箱根の伝統工芸品
おそらく日本で生まれ育った方なら誰もが一度は目にしたことがあるはず。
(幼いころ、私の実家にもこの寄木細工の「からくり箱」がありました。)

寄木細工、こういうやつね。他にもたくさんの柄が存在します。

寄木細工の技法うんぬんについては紹介すると非常に長くなるので本稿では割愛します。
が、
私も自身で色々と調べ、聞き、教えてもらい、独学しましたが、
一言でいうと、

” Brilliant ”(素晴らしい)

この一言に尽きます。

「そんなことが本当に成し得られるの?」と驚くばかりの技法です。

寄木細工をアップで。

技法の凄さについて、詳細をすこぶる省き 簡素にまとめると、

【ざっくりまとめ】
・すべて天然の木で作る
・木は染色していない(自然の木の色そのまま)
・多種多様な木を寄せ集めて文様(デザイン)を作る
かんなでかつお節のようにペラペラなものを削り出す
・削ったもの(ヅクと呼ぶ)を箱に貼り付ける

こんな感じです。

寄木細工について知っている人は「うん、知ってる。」ですし、
知らない人にとっては「は?意味が分からない。」な、
中途半端なまとめ 失礼しました。

知らない人は是非調べてみてください。
知っている人もこれを機に改めてネットなどで調べていただき、凄さを再実感してください。
※結局、皆さんにそれぞれ調べさせる流れ。

こちらのサイトに 簡にして要を得た内容が載っています。
→(外部リンク)「本間寄木美術館・寄木細工製作工程

寄木細工の文庫箱

さて、魅力がたっぷり詰まった寄木細工。
最も有名なアイテムは「秘密箱(からくり箱)」と呼ばれるこのようなアイテムかと思います。

秘密箱(からくり箱)。こちらはサイズ6寸半のもの(20.0×14.5×9.5cm)。
昔、私の実家にも同等のものがありました。
(画像)「寄木オンラインショップ」より

これはこれで素敵なアイテムなんですが、今回の私の目的=物を収納する)には適しません
大きさの問題もありますが、開閉のたびにこんなにカチャカチャやらなければならないのはタイムロスが過ぎます。

私は単純に「」が欲しい。

というわけで、
寄木細工が使われた文庫箱を2つ購入しました。

この2つです。
じゃーん。

じゃじゃーん。

大きさは2つとも同じで、しゃく1」と呼ばれるサイズの文庫箱です。

「尺1」とは、「1尺(=30.3cm)」のこと(たぶん)

実物の外寸を測ってみると、
約・縦33.7cm×横26.2cm×高さ9.8cm
でした。

ん?
3cm以上も違う…。

ふと考え直して 内寸を測ってみると、

ズバリ、30.3cmでした。
おお、一尺ぴったり。

※ただし、文庫箱を色々なところ(ネットやらお店やら)で見て確認をしましたが、「尺1」と表記がされていても大きさに多少のバラつきがありました

真相はよく分かりませんが、まぁいいや(一番ダメなやつ)。

この件はどなたか先輩方にいつか教えていただきます。

文庫箱(小寄木)

さて、2つ購入した文庫箱。
それぞれ、デザインが異なりますので写真で見ていきましょう。

まずは、色々な細かい文様をあわせてデザインされている「小寄木」。

一般的によく見かけるタイプのデザインです。

寄木細工と言えばコレ、という見た目の「小寄木」。
細かい文様をあわせて完成するデザインです。

「文庫箱」なので、つまりは「箱」です。

パカッと開けるとこんな感じ。

ぱかーり。

このように、いさぎよいシンプルな構造の「であることが私には重要だったため、大変満足。

なお、今回紹介している2つの文庫箱は 共に「ヅクばり」と呼ばれる製法が用いられています。

かんなで薄く削ったシート状のもの(=ヅク)を、木箱の外側に化粧として貼り付けるという伝統的な技法。

そのため、箱の内側はただの木・・・・です。

もとい。
ただの木と言っても、上質なヒノキです。
香りがとても素晴らしい。

内側はいたってシンプル。

特筆すべき点は、箱本体とふたを合わせたときに模様がきちんとそろ点です。

蓋を閉じてみましょう。そろーり。
そろーり、そろそろ…。
ぱふんッ。
見事に模様が合わさります。すごい。

これをコンピュータや機械を使わずに手作業で仕上げているわけです。

いやはや、すごい。

ブリブリ、ブリリアントでございます。

一周ぐるり、どの面を見ても上蓋と下箱の模様がぴたりと揃います。

文庫箱(亀甲)

続いて、2つめの文庫箱。
こちらのデザインは「亀甲」です。

綺麗な正六角形の文様が並びます。
アップで見ると細かさが良く分かります。
麻の葉の文様を合わせて亀甲デザインにしています。
1つめの文庫箱と同じように内側はシンプル。

そして、この亀甲柄の文庫箱も、やはり 箱とふたを合わせたときに模様がぴたりと揃います。

これを、
このように閉めていくと、
ぴたり。
美しい。

収納力

「尺1文庫箱」の実際の収納力がどれほどのものなのかを紹介しますと、正直言ってそんなにたくさんのモノは入りません(おい)。

「文庫箱」の名の通り、もともとは本を収納する用途として使われるこのアイテム。

もちろん本以外のモノを入れても誰にも怒られることはありません。

小物やら、文具やら、使う人によって用途は様々かなと思います。

かっこつけて私物を並べ入れて撮影してみましたので、参考までにどうぞ。

収納容量の参考までにどうぞ。
かっこつけて撮ったので実際にはもっと入ります
つまり、参考にならない。

その他ギャラリー

ここからは、その他の写真をつらつらと載せておきます。

伝統工芸の世界、奥が深く、趣がありますね。


あ。忘れてました。

底面はこのような黒一色のデザインになっています。

底部分。ここは塗装仕上げです。

まとめ

最後に今回のまとめです。

今回は、箱根の伝統工芸品 寄木細工の文庫箱を紹介しました。

小物や手回り品を収納するための「箱」としてGETしましたが、箱としての機能そのものよりも 伝統工芸としての技法やその美しさ・素晴らしさの方に感銘を受けました。

今まで「付属品の箱」を使ってきた私にとっては 「寄木細工の箱」に替えたことによって何段階もグレードアップしたことになります。

箱に触れるたびに ウキウキ気分です。

また、部屋に置いておくだけでもインテリアとしてのディスプレイにもなり、一石二鳥

そして、

今回を機に 寄木細工の魅力に感化され、他にも文庫箱を手に入れました。

けれど、これは別の物語。
いつかまた別のときにはなすことにします。

では、今回はこのあたりで。

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