モノの名前は正確に覚えなければいけない。パラブーツのアヴィニョン。

2022年1月29日

エルメネジルド・ゼニア 別注モデル

然ですが、

「エルメネジルド・ゼニア」と、早口で10回言ってみてください。

……。

やりましたか?(うたがう)

チャレンジしてみるとなかなか難しく、

真面目にやると6回目ぐらいから、「自分、いったい何やっているんだろう…」という気持ちになったかと思います。

変なことにお付き合いくださった皆さん、ありがとうございます&失礼しました。

私が何を伝えたかったかというと、

モノの名前は正式にきちんと覚えておかなければいけない、ということです。
(こんなことを言っている私はモノ(人も)の名前を覚えるのがとても苦手です。)


「エルメネジルド・ゼニア」は、イタリアの有名な高級生地メーカーですが、

ほとんどの場面では 単に「ゼニア」と呼ばれていて、「エルメネジルド」の部分は省略されています。

それ自体は別に構わないです。
(その方が呼びやすいし。)

ただし、

正式名称をきちんと知っておいてこそ・・・・・・・・、略語や愛称で呼んで良いものだと私は思っています。

車の「メルセデス・ベンツ」も、日本ではほとんどの人が「ベンツ」と呼びます(※1)が、「メルセデス」と頭についていることを忘れてはいけません。

ブランドの「イブ・サンローラン」も、「イブサン」「ローラン」だと勘違いしているであろう人に出くわすことがあり、彼らはこのブランドのことを「イブサン、イブサン」と我が物顔で言いますが、

これは「両津勘吉りょうつかんきち(※2)のことを「ウツカン」と略しているようなものです。

例え話が多くなってうざったいですが、きちんと正式名称を覚えておいた方が良いですよ、という話です。

たまに思うのです。

私のことを親しげに下の名前で呼んでくる知人がいますが、

「はたしてこの人は私のフルネームを知っているのだろうか?」と。

略語や愛称とは、そのモノ・人・事柄に対して、ある意味で敬意を払って用いるものだと思っています。

つまり、気安く使ってしまうとそれだけ薄っぺらいものにしかならないということです。

パラブーツのアヴィニョン(ゼニア別注)

とかなんとか 偉そうなことを言っている私も、「エルメネジルド・ゼニア」と記載するのは長ったらしいので、本投稿では「ゼニア」と記載します。

(今までの話はどこへ行った…。)


この靴は、ゼニアがパラブーツに別注をしたUチップのアヴィニョンです。

イタリアの生地ブランドであるゼニアが フランスのシューズブランドであるパラブーツへなぜ別注をしたのか疑問ですし、多少の違和感もあります。

理由を知っていそうな言い方をしましたが この2社のコラボが実現した経緯は知りません、ごめんなさい。

Paraboot /AVIGNON(189282)

特徴は何といっても 履き口をぐるりと覆っているゼニアの高級生地、トロフェオ(※3)

グレーのヘリンボーン柄がシックなデザインです。
(履くと けっこうポップなんですけどね。)

上質なゼニアの生地が使用された履き口。
履き口はファブリックですが、かかと部はレザーです。

レザーとファブリック(しかも繊細な高級生地)のコンビ素材はアイデアとしてはとても良く、

デザイン面も「やり過ぎ感」がないので、うまくまとめたなぁという所感。

しかし、履き続けてファブリック部分が擦り切れてしまったり ボロボロになった時はどうすればいいのでしょうか。

それほど強固な生地ではないですし、修理交換も対応していなさそうです…。

まぁ、いいや。

ボロボロになってから考えます(テキトー)。


パラブーツのアヴィニョンは、同ブランドの中では比較的シュッとしたスマートなシルエットのUチップシューズ。

Uチップはオフィスカジュアルとしてのオンタイムから、完全私服のオフタイムまで幅広く使えるので非常に重宝するデザインです。

スマートなシルエット。シュッ!
シュ、シュッ!!

ソールはマルシェⅡ

続いて、アヴィニョンのシュッとしたシルエットに反したソールの話。

驚くべきことに(?)、ソールはマルシェⅡという少し厚みのあるソールが採用されています。

パラブーツのインライン(=通常モデル)のアヴィニョンには グリフⅡという薄めの・・・ソールが採用されているのですが、このゼニア別注モデルでは厚みのある・・・・・マルシェⅡです。

ゼニアというエレガントさを売りにするブランドが、厚みのあるソールを選択したことには少し驚きですが、意外性という面では面白い。

ゼニアのエレガントさをパラブーツに落とし込むとこうなるのかと興味深いです。

どちらのブランドもそれぞれのブランド意義を崩さずに調和しており、意味のある・・・・・別注モデルと言えるでしょう。

その他ディテール

アッパーはつやのあるパラブーツのリスレザーです。

ワックスがたっぷり含まれている感じはなく、良い意味で一般的な良質のカーフレザー、という印象。

光沢感がドレッシーさを表現する一助になっています。

通常のパラブーツのリスレザーとは異なる質感。な気がする。

パラブーツではお馴染みのノルウェイジャン製法で縫い合わされた糸は、ゼニアの色気が漂うブラウンカラーです。

通常版の白糸ではなく、茶色の糸が使われています。
この写真は この靴の特徴のほとんどを網羅した1枚。
(先端が写っていないからUチップなのかどうか分かりにくいけど。)

インソールの色も通常のパラブーツの仕様とは異なります。

ビキューナカラーのライニングで、ゼニアのこだわりが感じられる部分です。

カラーリングがかっこいい。
全体像。
「Paraboot for Ermenegildo Zegna」の表記が入ったインソール。

付属品

最後に付属品。

ゼニアが仕立てるようなスーツを彷彿とさせる専用のボックス。

ストライプのデザインがイタリアっぽいです。

シックなストライプのデザインはゼニアならでは。

シューケースもゼニアの別注仕様です。

ロゴ入りの靴べらも付いていましたが、私は永久に使わなさそうなのでそっとボックスに閉まっておきましょう。

まとめ

今回はゼニア別注のパラブーツのアヴィニョンを紹介しました。

別注のあるべき姿を具現化した素敵な仕上がりです。

リペアの際の不安はあるものの、どのようにボロボロになっていくのかも含めて楽しみな一足です。

また、タマ数が少ない製品のため周りとかぶることがほぼ無く、所有している満足感も多少なりともあります。


この「エルメネジルド・ゼニア」というブランドに限らず、

人の名前でもモノの名称でもなんでも、フルネーム(正式名称)で覚えておくことに越したことはありません。

たかが名称ひとつ。

されど名称ひとつ。

覚えられなくとも、覚えようとするかしないかが重要です。

学ぶことを辞めてしまうと、そこで思考も止まってしまいますからね。

では、タグのアップ写真でお別れです。

さようなら、アリーヴェデルチ。

注釈

(※1)日本ではほとんどの人が「ベンツ」と呼びます
メルセデス・ベンツは誰もが知る高級な車メーカー(ブランド)ですが、欧州をはじめとする海外では「ベンツ」とは呼ばれでおらず、「メルセデス」と呼ばれています。発音は「メルセェーィデス」みたいな感じです。マクドナルドの現地発音が「マクドォーゥナルズ」なのと同じ感覚。日本では母音や文字数の関係から「ベンツ」の方が言いやすく、それが定着したのかなと私は考えていますがどうなんでしょうね。とは言え、近年では日本でもベンツのことをメルセデスと呼ぶ流れが少し出来つつあります。世界基準に合わしていくということでしょう。

(※2)両津勘吉
「こち亀」こと、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する主人公の警察官。「両さん」と愛称で呼ばれて親しまれていますが、彼のことを語るのであれば フルネームが両津勘吉であるということはしっかりと頭に入れておかねばなりません。気安く呼ぶものではない。

(※3)トロフェオ
ゼニアを代表する最高級のメリノウール生地。トロフェオとは「トロフィー」のイタリア語。滑らかな肌触りと上品な光沢が特徴です。スーツを仕立てると高いです(40~50万ぐらい)。

スペック

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