名前というのは、人間が 物や人物に対して与えるもの。
その物(者)の機能性や将来性、象徴(イメージ)、希望、期待などを表している場合がほとんどです。
パラブーツのこの靴は「クリュサ」(CLUSAZ)という名前ですが、
「クリュサ」とは何を意味しているのか調べてみましょう。
クリュサという街
とか言ってみたものの、答えは簡単!
クリュサとは都市の名前です(きっと)。
(※パラブーツの本国の社長から聞いたわけではないので推測ですが、間違いないと思われます。)
靴のモデル名に都市名が付けられていることはよくありますが、このクリュサもその類。
クリュサとは、フランス南東部にあるスキーリゾートの地「La Crusaz」のことで、
フランスとスイスとの国境沿いにあり、綺麗な山脈が見渡せる場所。
偉そうに書いてますけど、行ったことはないです。
下の画像はWikipediaから拝借したものですし、私はスキーすらできません。
素敵な街の名前が付けられたパラブーツのクリュサ。
ご存じの方も多い話ですが、クリュサの元ネタは「アヴォリアーズ」というマウンテンブーツです。
(正確にはこの「アヴォリアーズ」にも元ネタがあります。長いので今回は割愛します。)
クリュサは、このアヴォリアーズの足首から上の筒部分をぶった切ってアレンジされた マウンテンブーツ顔の短靴というわけ。
では、この元ネタである「アヴォリアーズ」とは何を意味しているのでしょうか。
これも答えは簡単で、
「アヴォリアーズ」もフランスにある山岳リゾート地の名前。
やはり、都市名から名前が付けられています。
(クリュサと同様、この話も「おそらく」がつく推測ですがまず間違いないでしょう。)
フランスの山々に関する知識がキング・オブ・ゼロの私には中身のある話が何もできずに申し訳ないのですが、
本格的なマウンテンブーツデザイン → アヴォリアーズ
マウンテンブーツ風の短靴シューズ → クリュサ
の構図から推測できるように、
都市(もしくは 山?)としても、アヴォリアーズの方がクリュサよりも規模が大きい(or 何かに優れている)んでしょうね。
(たぶん。)
パラブーツのクリュサ
パラブーツ、「クリュサ」のネーミングについて書いてきましたが、
肝心な靴そのものについてのレビューはここからです(ようやく)。
パラブーツにはたくさんのモデルが存在しますが、個人的にはこのクリュサは大好きなモデルのひとつ。
流行りに左右されないデザインが魅力です。
(素材違いのクリュサの記事はコチラからどうぞ。)
・クリュサ(スエード)
・クリュサ(ムートンボア)
グリーンタグがないデザイン
最も気に入っている&推しておきたいポイントは、「Paraboot」のタグが付いていないこと。
一部を除くほとんどのパラブーツの靴には グリーンタグと呼ばれるブランドのネームタグが付いていますが、クリュサには付いていません。
(アヴォリアーズにも付いていません。)
タグが「付いている」or「付いていない」は賛否が分かれるところでしょう。
マリリン・モンローのほくろ(※1)の有無を議論するようなもので、好みの問題です。
それはそれとして、なぜ「クリュサ」にはブランドのグリーンタグが付けられていないのでしょうか。
考えられる理由は2つ。
1つ目は、マウンテンブーツの機能美を尊重しているため。
2つ目は、タグを縫い付ける適切な箇所がないため。
1つ目の理由はまず間違いないでしょう。
マウンテンブーツのアヴォリアーズにもタグが付いていないことを考えても分かるように、本格的な登山の「道具」として表現するためには 無駄なものは極力省きたい。
(ブランドタグが無駄という意味ではないです。)
そんな理由からタグが付けられていないのだと思います。
もうひとつは、「タグを縫い付ける適切な箇所がない」です。
ブランドの観点からすると アッパーのさりげなく目立つ場所にタグを付けたいでしょうが、この靴にはシームがあまりなく、適切な場所がなかなかありません。
唯一 付けられる場所としてはここ(下写真)かなと思いますが、なんだか間抜けに感じます。
靴にブランドタグが付いていないことのNGポイントを挙げるとするならば、「威張れないこと」(=見せびらかして自慢ができないこと)です。
パラブーツはブランド誇示を楽しむ(?)タイプの靴ではないですが、タグが付いていないと「わたくし、パラブーツを履いているのだゾ!」という威張りを利かせることはできません。
どうでもいいことのようですが、時には重要なことです。
フィッテイング
クリュサのフィッテイングはパラブーツの他のモデルよりも「気持ち大きめ」な所感です。
履き口が大きく開くデザイン構造になっているため 甲高の人でも比較的 足入れは楽で、シューレース(紐)の調整で好みの履き心地にある程度は調整できますし、サイズ選びはそこまでシビアに考えなくてもよいモデル。
スニーカーのフィッティングに近いです。
アイレットは、Dカンが4つ、足首側の最後の1つはレースフックの仕様です。
レザーの素材
アッパーに使われているレザーはワックスがたっぷり含まれたリスレザー。
リスレザーの「リス(LISSE)」とは、フランス語で《なめらか(スムーズ)》という意味。
小動物のリスとは何の関係もありません。
巷では「パラブーツといえばリスレザー」と もてはやされがちですが、意味合いとしては単に「スムースレザー」という意味です。
(自分の中で曖昧になっている単語の意味をしっかり把握することはとても大切ですね。)
グッドイヤー製法
アッパーとソールをつなぐ製法はグッドイヤー製法。
パラブーツといえばノルウェイジャン製法が思い浮かびますが、このクリュサはグッドイヤーです。
コバが張り出すノルウェイジャンと違い、グッドイヤーならではのスッキリとしたソールまわり。
参考までに。
ノルウェイジャン製法が施されたクリュサ(ムートンボア仕様)の写真はこちら。
ソール
ソールはパラブーツのJANNUソール。
パラブーツのオリジナルです。
適度なクッション性と硬さがあり、小石が挟まることを除いては合格です。
ソフトすぎず、ハードでもなく、適度なコンパウンド。
ソールを自社製造しているパラブーツならではの履き心地です。
が、
ウェットな路面では意外とスリップします。
(グリップ力にはあまり優れていない。)
「廊下は走らないこと」という教師の警告を一切無視していた私には より一層の注意が必要です。
シューレース(靴紐)
シューレース(靴紐)は太さのある無骨なものが採用されています。
少しほどけやすいものの、適度な太さなので結ぶのは楽ちん。
スタンダードな黒色の靴ひも以外に、ストライプ柄のトラ紐も付いています(※2)。
付け替えてみるとこのようなイメージ。
黒ひもだとオールブラックなカラーリングですが、このストライプのトラ紐に変更するだけでイメージがかなり変わります。
カジュアルな淡い色のボトムスなどにもスタイリングしやすくなり、履きこなしの幅が広がって良いですね。
まとめ
今回はパラブーツのクリュサを紹介しました。
街履きにも、アウトドア利用(キャンプやハイキング程度)としても、どちらでも足元をお洒落に飾ってくれる優秀な靴です。
見た目はマウンテンブーツのようでありながら、実際にはアンクル丈のローカットシューズなので脱着がしやすいところも良い(あくまでもブーツと比べて)。
私はブラック(カラー名:NOIR)を履いていますが、アウトドアテイストを強調したい場合はブラウン(カラー名:ECORCE)がおすすめ。
茶色のほうが抜け感があって よりカジュアルな印象です。
以前にも書きましたが、私の手持ちの靴はほとんどが「黒色」です。
茶系の靴まで揃えだすと収納場所が確保できなく、押しつぶされて圧死するかもしれません。
(ブログの更新が無くなった場合は 死んでいます。)
けれど、茶系の靴を数足持っておくと便利そうですね。検討してみます。
それでは、あの世で。
お・わ・り
(素材違いのクリュサの記事はコチラからどうぞ。)
・クリュサ(スエード)
・クリュサ(ムートンボア)
注釈
(※1)マリリン・モンローのほくろ
マリリン・モンローのほくろは「付けぼくろ」だそうですね。有無の差で印象が違って見えるのは非常に興味深いです。白紙の紙に1滴の絵具を落とすだけで、それは立派な「デザイン」になるわけです。
(※2)ストライプ柄のトラ紐も付いています
購入のタイミング等によっては黒ヒモのみ(もしくはストライプのみ)の場合があります。シューレースを変えるだけで印象がガラリと変わる靴なので違いを楽しめるのも嬉しいポイント。シューレースだけを単品で購入することもできます。価格は800円(税抜き)。
スペック
- ブランド:Paraboot(パラブーツ)
- モデル名:CLUSAZ(クリュサ)
- 型番 :175212
- カラー :ブラック
- アッパー:牛革
- ソール :JANNU SOLE(ゴム底)
- 製法 :グッドイヤー製法
- 原産国 :フランス
- 価格 :65,000JPY(plus tax)