都内近郊に住む私は、本物の冬の寒さとは無縁の生活をしています。
気温が氷点下になることは年に数回ですし、雪が積もる頻度も数年に一度です。
仕事も内勤で屋内にいることが多いため 暖房完備の場所に居ることがほとんどで、
電車移動の際も、車移動の際も、本物の寒さに出会うことはほぼ皆無です。
(なんなら、電車の中は暑い。)
それでも、冬には冬の ”なにか” を感じたく、
身なりひとつにしても、冬っぽさを表現できるアイテムを身にすると、瞬く間に気分が冬モードになるものです。
というわけで、
今回はパラブーツのクリュサ(ムートンボア仕様)をご紹介します。
機能性だけではなく、表現力も大切な要素のひとつであることに 改めに気付かされる一足です。
パラブーツのクリュサ(ムートンボア)
ご存じの方も多い話ですが、
パラブーツのこの「クリュサ」というモデルは、
「アヴォリアーズ」というマウンテンブーツをローカット仕様にした靴です。
マウンテンブーツの顔とも言える足首を覆う筒状の部位(ここ 何て名称だ?)をバッサリとぶった切って、ローカットのスタイルにアレンジしているというわけです。
つまり、ブーツ顔なんですが ブーツでは無い。
私は雪が降り積もる山岳地帯で暮らしているわけではないので、
この靴はとても気軽に「冬気分」を味わえるアイテムです。
もちろん、多少の雪道を歩くぐらいならノープロブレムな実用性も兼ね揃えています。
さて、このムートン版のクリュサ、
通常版のクリュサと異なる大きな特徴が3つあります。
①タン部分にムートンボアを使用
②クロムエクセルレザーを使用
③ノルウェイジャン製法を採用
それでは、これらの特徴をひとつずつ 見ていきましょう。
ムートンボア
この靴の最大の特徴は もちろん、ムートンボア部分です。
イチゴパフェの最大の特徴がイチゴであるのと同じです。
ムートンとは ヒツジの毛皮のことですが、
そういえば、ジンギスカンなどに使われるヒツジ肉のことをマトンと言いますね。
ムートンとマトン、
語感が似ているのは興味深いです。
これ以外にもムートンと間違えやすい単語を載せておきます。
mouton:ムートン(羊の毛皮)
mutton:マトン(羊の肉)
morton:モートン(マリオのキャラ)
murton:マートン(元野球選手)
本題から何万光年か離れた話をしてしまったので、話を元に戻します。
ムートンボアが使われている箇所は、靴のタンの上部。
2枚のボアパーツを重ねて、防寒性や防風性を高めてくれるスノーフラップという仕様になっています。
クロムエクセルレザー
メイン素材としてアッパーに使われているレザーは、
なんと、あの「クロムエクセルレザー」です。
泣く子も黙る、ホーウィン社(アメリカ・シカゴ)の代表的なオイルドレザー。
傷は付きやすいですが、味としてのエイジングにもなりますし、耐久性も抜群です。
クロムエクセルレザーはホーウィン社独自のオイルドレザーですが、
レシピとしては「牛脂」「魚脂」「植物性脂」「蜜蝋」がメインになっているのだそう。
字面だけ見ていると、美味しそうですね。
※「蜜蝋」は「光郎(=人)」ではありません。
クロムエクセルレザーはコードバン(馬のお尻の革)で有名なホーウィン社の革なので、
コードバンだと勘違いをしている方がたまにいますが、
実際にはただの牛革です。
なめし方をはじめとした加工技術が素晴らしいということです。
ノルウェイジャン製法
アッパーとソールを縫い合わせる製法にも特徴があります。
通常版のクリュサはグッドイヤー製法ですが、
このムートン版のクリュサではノルウェイジャン製法。
雪道やアウトドアでの使用をより意識した仕様になっています。
こういった細かなこだわりを製品に反映させているところが パラブーツというブランドの素晴らしいところです。
ソールはパラブーツのオリジナル、ジャンヌソールです。
軽量でクッション性もあり、長時間歩いても疲れにくいです。
スニーカーには負けるでしょうけど。
紐で表情が変わる
最後に靴紐について触れておきます。
付属のシューレース(※1)に着せ替えることで表情がガラッと変わります。
黒ヒモは引き締まった表情、ストライプの柄ヒモはよりカジュアルに。
ボトムスやトータルコーディネートのバランスを考えたうえで着せ替えられる楽しみがあります。
目の錯覚とは面白いものですね。
左右どちらも グレーのボアですが、シューレースの色が異なると ボアの色味も違って見えます。
ストライプ柄の方のボアはグレーの色味がより薄く見えます(わーお!)。
まとめ
今回は、冬に活躍してくれること間違いなしのパラブーツ、クリュサのムートン・バージョンをご紹介しました。
特徴的なふわふわのムートンボア。
経年変化が楽しみなクロムエクセルレザー。
アウトドア仕様のノルウェイジャン製法。
通常版のクリュサとはまた異なる魅力を持つ素敵な靴です。
価格についても良心的です。
通常版クリュサが、65,000円(本体)。
このムートン版は、67,000円(本体)。
わずか2,000円アップで魅力的な要素をモリモリと乗せてくれています。
(もちろん、好みはありますが。)
JR山手線で渋谷から新宿まで行くと160円ですが、池袋まで足を伸ばしてもプラス10円の170円で行けることに似ています。
渋谷→新宿(3.4km):160円
渋谷→池袋(8.2km):170円
なんだこの情報。
収拾がつかなくなったところでドロンします、サヨナラ。
注釈
(※1)付属のシューレース
「付属の」と書いたものの、直営店の店員さんの御好意でいただいたような気もします(アリガトウ)。必ずしも無料で付属しているわけではないかもしれません。ハッキリとした記憶がないのです。年なのです。もちろん 別途買い求めることは可能です。価格は800円(税別)。
スペック
- ブランド:Paraboot(パラブーツ)
- モデル名:CLUSAZ MOUTON(クリュサ ムートン)
- 型番 :211512
- カラー :ブラック
- アッパー:クロムエクセルレザー(牛革)
- タン :MOUTON(羊毛皮)
- ソール :JANNU SOLE(ゴム底)
- 製法 :ノルウェイジャン製法
- 原産国 :フランス
- 価格 :67,000JPY(plus tax)